Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ちゅうぼく

忠僕

池谷 信三郎

Leggi 忠僕 (ちゅうぼく) di 池谷 信三郎 (いけたにしんざぶろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 2898 caratteri · 6 schermate

Aozora Bunko

久助は怒って、三日も口をきかなかった。

久助はどうしても今晩おしまに会い度いと思ったが、まだ給金を貰っていなかった。水を入れた木箱の中の鮎を数えると、彼は立上った。そして岩を飛び飛び、憂鬱な顔をして宿へ帰って来た。

開け放たれた二階の窓からは、ブリキの鑵へ印刷する工場の話がまだ続いていた。大分お酒がまわっているらしく、陽気な男の笑い声が聞えていた。久助はグビグビと咽喉を鳴らした。

流れを引いたいけすに鮎を放つと、板場の註文だけに網にいれて台所へ渡し、自分の部屋に帰って着物を着更え、冷えた身体をお湯に浸かした。釣橋の上から笑ったおしまの身体が、そこの湯気の中から白く浮んで彼を招いた。

ぼんやりと部屋に帰った久助はぼんやりと朋輩の行李を開けていた。そして、その底に入れてあった蟇口の中から、五円の札を一枚抜きとると、そのままぼんやりと夜道を歩いて行った。

夜中。――ぐでんぐでんに酔払って帰って来た久助は、宿の裏口で、いきなり朋輩の男に殴られた。何をするんでえ、と云うと又殴られた。そこへ主人が起きて来て朋輩の男を宥めた。その男は五円の札を主人から貰って、ぶつぶつ云いながら、寝て了った。