Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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いかりのむし

怒りの虫

豊島 与志雄

Leggi 怒りの虫 (いかりのむし) di 豊島 与志雄 (とよしまよしお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 11.457 caratteri · 24 schermate

Aozora Bunko

では、塚本と一緒に暮せと仰言るんですね。別れようと仰言るんですね。」

「違いますよ。愛情は育てましょう。然し、その育て方ですが……。」

彼は口を噤んで、眉をしかめた。窮地に追い込まれた気がしたのである。そして卓上の一点に眼を据え、酒を飲みながら考え込んだ。

≪木山は別なことに思いを走らせるのである。近頃彼は身体の違和を自覚しだしていた。殆んど毎夜のように寝汗をかいた。睡眠は浅く、熟睡の気持を味ったことがなかった。そのくせ、昼間でも、物を考えてるうちに、うとうとすることがあった。手指や足指の先に、軽い麻痺を感じた。脈搏が、時に速くなり、時に緩くなった。顱頂部にしばしば汗をかいた。眼がくらんでくる気がして、足がふらつくことがあった。顔の肉や掌の肉に、厚ぼったく脹れた感じがすることもあれば、げっそり萎びた感じがすることもあった。便通が甚しく不整だった。食慾も不整で、而も次第に減退してゆくようだった。飲酒慾だけは常に旺盛だった。物忘れが甚しく、時によると記憶全体がぼーっと陰った。全身にいつも倦怠感があった。注意力が散漫だった。これはいったいどうしたことか。肝臓にでも異変があるのかも知れないぞ。