Classici giapponesi con furigana
ja-reading.com
Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.
おんがくどけい
性に眼覚める頃
室生 犀星
Leggi 性に眼覚める頃 (おんがくどけい) di 室生 犀星 (むろうさいせい) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 10.495 caratteri · 22 schermate
また遠慮をしているんでしょう。」
そのとき小さい病人はまたぽっかりと目をあけて私のかおを見た。そしてにっと柔しく微笑んで見せて、ちいさな声で、
「時計にネジをかけて下さいな。」と言って弱い竹紙のような微笑んだ皺を頬にあらわした。
「あ、そうか、少しも気がつかなかった。」
私はすぐネジを巻きはじめた。その手つきを病人は愉しそうに見つめていたが間もなく音楽時計がいつもと同じい調子で鳴りはじめた。それは明るい華やかな曲がちょうどピアノのような美しい音と色とをもって、絶えず暗い一室にくりかえされた。
と、子供の喜びそうな単純さと質朴さとを絶えず繰り返すのである。小さい病人は目をあけて、それを一心に楽しそうにきいていた。そして、しまいには熱そうな小さい腕を床のなかから辷り出して、
「お母さんは遅いわね。」と突然に病人が言い出して病的に涙ぐんだ。妙に音楽にでも誘われたような柔しくうっとりとしたような声であった。
階下からだるい声でよくこう呼ばれたが、おかみさんは通りへ買物にでかけたあとなので、誰も返事がなかった。雨の音だけが屋根をたたいていて、その小さい病人のだるい声をひびかした。