Classici giapponesi con furigana
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かいきいっせきばなし
怪奇一夕話
岡本 綺堂
Leggi 怪奇一夕話 (かいきいっせきばなし) di 岡本 綺堂 (おかもときどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 8745 caratteri · 18 schermate
彼は不意に往来の人に飛び付き、或は雨傘の上に飛びあがる。それに脅かされた人々は、その正体をよくも見定めずに種々の怪談を伝えた。江戸市内に流布する怪談の種を洗うと河獺の仕業が多いという。これも父の話であるが、虎の門の内藤藩士福嶋某が雨のふる夜に虎の門を通行すると、暗い中から真黒な小僧のような者が飛んで出て、突然に横合からその腰に組み付いたので、福嶋は小僧の襟首を引っ掴んで力任せに地面へ投げ付けると、彼は低く走って堀のなかへ水音高く飛び込んだ。これも大きい河獺に相違ないと、福嶋は人に語ったそうである。
次は猫である。化け猫という一つの熟語が出来ているくらいに、猫の化けるのは有名であって、尾上菊五郎の家の芸にまでなっているが、十二ひとえ姿の官女に化けたり、絞りの浴衣を着て踊ったりするのを、実地に見たという人は無いようである。猫が手拭をかぶって踊ると伝えられるのは、彼がその頭にからんだ手拭を払い退けようとする前足の働きが、恰も踊るように見えるからであろう。猫が立って歩くのは事実で、私も一度目撃したことがある。
それは今から三十年ほど前のことで、その頃わたしは麹町元園町に住んでいたが、八月なかばの暑い夜で何分にも寝苦しいので、午前一時頃に起きて庭に出て、更に門の外に出た。