Classici giapponesi con furigana
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あしのうら
怪奇探偵小説名作選7 蘭郁二郎集 魔像
蘭 郁二郎
Leggi 怪奇探偵小説名作選7 蘭郁二郎集 魔像 (あしのうら) di 蘭 郁二郎 (らんいくじろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 109.233 caratteri · 223 schermate
(二人とも、何処へ行ったんだろう……)
考えてみれば、あの二人が何処へ行こうと、お節介な話のようであったけれど、彼はなぜか胸のどきどきする不安を感じていたのである。そして、それは果して彼の危惧ではなかった。
鷺太郎が、その小径を下の草叢にまで下りたち、もう一度、前跼みになって、あたりを見透かした時だった。右手の方、一間半ばかり離れて、雑草の中に、何か、時々ぼーっと浮き出る白いものが眼についた。
(おや――)
と、我知らず早鐘を打ちだした胸を押えて、露っぽい草を掻きわけながら、近寄ってみると、
『あっ……』
ギクン、と立止った。
さっきから感じていた何か知らぬ不安は、矢ッ張り事実だったのだ。
そこには、あの山鹿の家から追けて来た、若い女が、棄てられたように、ぐったりと寝ている、いやそればかりでない、その左の胸の、こんもりとした隆起の下には、匕首が一本、ぐさりと突刺っているのだ。……その匕首のつけ根から流れ出た血潮が、あの白地に大胆な赤線を配した洋服の上へ、さっと牡丹の花を散らしたように、拡がっていた。
そして、それが、生い繁った雑草の中に寝かされてあり、その夏草の葉蔭にとまった蛍が、無心に息づく度に、ぼーっと蒼白い仄な光りと共に、それが隠し絵のように、浮び出るのであった。