Classici giapponesi con furigana
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あしのうら
怪奇探偵小説名作選7 蘭郁二郎集 魔像
蘭 郁二郎
Leggi 怪奇探偵小説名作選7 蘭郁二郎集 魔像 (あしのうら) di 蘭 郁二郎 (らんいくじろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 109.233 caratteri · 223 schermate
と、突然、
『あっ!』
山鹿が、彼に似合ぬ魂消るような叫びをあげると、ガタンとカンテラを取り落した。
はっ、とした瞬間、真暗になった路の上を、カンテラが、がらんがらんと転がる音がした。
鷺太郎は、反射的に、生垣にぴったり身をすりつけて、構えながら息をこらした。……が、あたりには、なんの音もしなかった。
『どした――』
呶鳴るようにいうと、
『が、蛾だ、蛾だ』
その声は、この夏だというのに、想像も出来ぬほど、寒む寒むとした嗄れた声だった。
『蛾――?』
鷺太郎は、唖気にとられてききかえした。
『なんだ、蛾がそんなに怕いのか――』
袂をまさぐって、マッチを擦ると、転がったカンテラを拾って火を移した。
その、ボーッと明るんだ光の中に、山鹿が、日頃の高慢と、皮肉とを、まるで忘れ果たように、赤ン坊の泣顔のような歪んだ顔をして、一生懸命、カンテラの火を慕って飛んで来たらしい蛾が、右手にとまったと見えて、まるで皮がむけてしまいはせぬか、と思われるほど、ごしごし、ごしごしと着物にこすりつけて拭いていた。
暫らく鷺太郎は、その狂気染た山鹿十介の様子をぽかんと見詰めていたが、軈て、山鹿はほと溜息をつくと、尚もいまいましげに、右手の甲をカンテラに翳しみてから、いくらか気まり悪そうに、干からびた声でぼそぼそと、弁解じみた独りごとをいい