Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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おそろしきつや

恐しき通夜

海野 十三

Leggi 恐しき通夜 (おそろしきつや) di 海野 十三 (うんのじゅうざ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 15.092 caratteri · 30 schermate

Aozora Bunko

室内の先客である川波大尉と星宮理学士との二人が、同時にハアーッと溜息をつくと、同時に言葉をかけた。

「遅いじゃないか。どうしたのか」と大尉。

「あまり静かに入ってきたので、また気が変な女でもやってきたのかと思ったよ。ハッハッハッ」と星宮理学士が、作ったような笑い方をした。

「いや、遅くなった。患者が来たもんで(と、『患者』という言葉に力を入れて発音しながら)手間がとれちまった。だが、お詫びの印に、お土産を持ってきたよ、ほら……」

そういって大蘆原軍医は、入口のところで何やら笊の中に盛りあがった真黒なものを、さしあげてみせた。

「何じゃ、それは……」

「栄螺じゃよ、今日の徹夜実験の記念に、僕がうまく料理をして、御馳走をしてやるからね」大蘆原軍医はそう云ってから、笊の中から、一番大きな栄螺を掴みあげると、二人のいる卓上のところまで持ってきた。磯の香がプーンと高く、三人の鼻をうった。すばらしく大きい、獲れたばかりと肯かれる新鮮な栄螺だった。

「大きな栄螺じゃな」と大尉は喜んだ。

「軍医殿は、人間のお料理ばかりかと思っていたら、栄螺のお料理も、おたっしゃなんだね」と、星宮理学士が野次った。