Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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おそろしきさくご

恐ろしき錯誤

江戸川 乱歩

Leggi 恐ろしき錯誤 (おそろしきさくご) di 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 23.075 caratteri · 46 schermate

Aozora Bunko

この話を聞いて、僕は、やっぱり妙子は気が狂ったのではなかったと思った。確かに何か重大な理由があって、火中に飛び込んだのに相違ないと思った。

『それにしても、妙子の側まで行って、すぐにどっかへ居なくなった男というのは、一体何者だろう』と僕が云うと、越野は声を落して、真剣な目附で、『それについて思い当ることがある』と云うではないか。……越野はあの時、僕の荷物を肩に担いで走りながら、ふと一人の男に擦れ違ったのだった。が、ハッと思って振返ると、もうその男は、沢山の弥次馬の中へまぎれ込んで、姿が見えなかった相だ。越野はその男の名前を知らせて呉れたが、君はそれが誰れだったと思う。僕とも、越野とも、至って親しい、古い友達なんだが、……その男は、なぜ友達の越野に逢って、挨拶もしないで、逃げる様に跡を暗ましたのだろう。僕の家が焼けているというのに、見舞にも来ないで行って了ったのだろう。これについて、君は一体どんな風に考えるね」

北川氏の話は、段々中心に触れて行くのだった。

野本氏は相変らず一言も口を利かないで、一種異様の表情を以て、北川氏の雄弁に動く口のあたりをじっと見つめていた。