Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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きょうふおう

恐怖王

江戸川 乱歩

Leggi 恐怖王 (きょうふおう) di 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 66.038 caratteri · 133 schermate

Aozora Bunko

賊が故意に短刀か何かで死体を傷けて、この恐ろしい文身を刻みつけて置いたものに相違ない。

何の為に?

俄かに断定を下すことは出来ぬけれど、文字の意味から想像して、これは恐らく賊の自己紹介ではなかろうか。誰しもそこへ気がついた。そして、その推察は適中していたのだ。

それにしても、何というむごたらしい賊の思いつきであったろう。彼は美しい娘さんの身体をズタズタに斬りきざんで、奇怪千万な人肉名刺を印刷して行ったのだ。

新聞紙の殆ど一頁を費した激情的な報道によって、この前代未聞の怪事件は、全国に知れ渡り、人々に絶好の話題を提供した。

賊はなぜそんな残酷な人殺しをしなければならなかったのか。仮装情死の目的は一体何であったか。死美人の背中に傷つけられた「恐怖王」とは抑々何者であるか、あの写真を見ても胸の悪くなるゴリラ男は、一体人間なのか、それとも人間によく似た獣物ではないのか。

人々は声を低めて、これらの恐ろしき疑問を囁き交した。

賊は大胆不敵にも人肉名刺によって名乗りを上げている。その上、同類ゴリラ男の写真まで、これ見よがしに見せびらかしている。しかも不思議なことに、警察のあらゆる努力にも拘らず、賊の所在は勿論、その素姓も、殺人の動機も一切合切不明であった。