Classici giapponesi con furigana
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きょうふおう
恐怖王
江戸川 乱歩
Leggi 恐怖王 (きょうふおう) di 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 66.038 caratteri · 133 schermate
って云ったかと思うと、サッサとどこかへ行ってしまったのです」
「君は、そんな約束なんかしなかったの?」
「エエ、ちっとも覚えがないの」
「で、その男というのは?」
「無論知らない人よ。こう髪を長く、おかっぱみたいにして、黒い服を着た、昔の美術家みたいな風をしていましたわ」
読者諸君は、この京子の言葉によって、誰かを思出しはしませんか。ホラ、ゴリラ男から布引照子の死骸を受取って、気味の悪い化粧をした男。あれがやっぱり、美術家風の黒い服を着た奴でしたね。
だが、大江蘭堂はそれと知る由もなく、テーブルの上の「声をよくする薬」だという紙包を開きながら尋ねる。
「で、この中には、本当に薬が入っていたの?」
「エエ、でも、何だか薄黒い米粒みたいな気味の悪いものよ」
「無論、呑みやしないね」
「エエ、毒薬だったら大変だわ」
なる程、紙包を開いて見ると、薄黒い米粒が五つ、大切相に包んであった。一体薄黒い米粒なんてあるのかしら。それとも、米粒の形をした丸薬なのかしら。
だが、蘭堂は暫くその微粒子を指先でコロコロやっている内に、何を発見したのか、矢庭に立上って、書物机の抽斗から、虫眼鏡を持出して来て、米粒の一つをつまみ上げ、熱心に覗き始めた。