Classici giapponesi con furigana
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きょうふおう
恐怖王
江戸川 乱歩
Leggi 恐怖王 (きょうふおう) di 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 66.038 caratteri · 133 schermate
彼はいきなりドアを開いて、室内に飛込んだ。
「畜生ッ、貴様まだこんな所にいたんだな」
思わず叫んで、有り合う椅子の背を掴んだ。
ゴリラだ。ゴリラ男が、夏子の上に馬乗りになって、その喉をしめつけている。夏子は、空色のワンピースの裾を破って、夢中にもがきながら抵抗している。
「邪魔するな。お前、あっちへ行ってろ」
賊は猩々の様に真赤になって、恐ろしい目で蘭堂を睨みつけ、途切れ途切れに唸った。
「止せ。止さぬと、叩き殺してくれるぞ」
蘭堂は椅子を振り上げて、ゴリラの頭上から打ちおろす身構えをした。
「早く、早く、こいつを叩きつけて」
夏子が、みだらに顔を歪めて、息も絶え絶えに叫ぶ。
「ウヌ、これでもか」
蘭堂は、振り上げた椅子を、力まかせに叩きつけた。
「ギャッ」
という、けだものの悲鳴。
ゴリラは肩先をやられて、やっと夏子の上から立上ったが、今度は蘭堂に向って、白い大きな歯を噛みならし、恐ろしいうなり声を発しながら、全く大猿の恰好で飛びかかって来た。
けだものと人間とは、一かたまりに組合って、床の上を転げ廻った。蘭堂は少々柔道の心得があったけれど、野獣にかかっては、何の甲斐もなく、一転、二転、三転する内には、遂にゴリラ男の下敷きになってしまった。