Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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きょうふおう

恐怖王

江戸川 乱歩

Leggi 恐怖王 (きょうふおう) di 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 66.038 caratteri · 133 schermate

Aozora Bunko

夏子は、食卓をかたづけさせ、蘭堂にお茶を勧めながら、やっと落ついた様に話し出した。

「イヤ、僕こそ。あの時あなたがピストルを撃って下さらなかったら、命がない所でした。それにしても、あなたの思い切った所置には敬服しました。一寸出来ない芸当ですよ」

蘭堂は心から命の恩を感じて、夏子を褒めたたえた。

「マア、どうしましょう。わたくし、あんな恥かしい様子をお目にかけて。……でも、ああでもしなければ、先生が危なかったのですもの」

「そうですとも、危なかったのです。あいつ本気で僕を殺そうとしていたのです」

「お互っこですわね。先生はあたしを助けて下さるし、あたしは先生をお救い申上げた訳ですわね。あたし何だか偶然でない様な気が致しますわ。こんな事がいつかあるのだという妙な予感を持って居りましたわ」

このうら若い未亡人は、互に救い救われしたことが、ひどく嬉し相である。

「アノ、本当にご迷惑でしょうけど、アノ、今夜お泊り下さる訳には行きません? 書生もまだ帰りませんし、若し先生でもいて下さらなければ、あたし、この家で眠る気が致しませんわ。ね、お願いですわ。それに、今からでは東京にお帰りになるのも大変なんですから」