Classici giapponesi con furigana
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きょうふおう
恐怖王
江戸川 乱歩
Leggi 恐怖王 (きょうふおう) di 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 66.038 caratteri · 133 schermate
歩き廻っているうちに、心の平調を失っていた為か、絨氈の端につまずいて、よろよろとよろめき、そこの壁にはめ込みになっている金庫の扉に倒れかかった。
すると、妙なことに、金庫の扉がしっかり閉めてなかったのか、ピチッと幽かな音をたてて、ほんの少しばかり動いた様な気がした。
伯爵は盗難の用心の為に、寝室の中に金庫を備えていたのだ。併しどこの家でも金庫はいつも密閉されているものだ。その上、符号を知らねば開くことも出来ないのだから、賊を探す場合にも、金庫丈けは度外視していた。けれど、その扉が本当に閉っていなかったとすると、賊め、京子さんを殺した上に、お金まで盗んで行ったのかしら。
「奥さん、この金庫は閉めてなかったのですか」
慌しく尋ねると、娘の死骸にとりついて泣き入っていた夫人が、やっと顔を上げて、
「イイエ、主人がしっかり閉めて置いた筈です。それに主人の外には合言葉を知りませんので、開く筈はありませんが……」
と不思議相に答えた。
「それがどうも本当にしまっていない様なのです。開けて見ても構いませんか」
「エエ、どうか」
夫人の許しを得て、蘭堂は扉の引手に指をかけた。