Classici giapponesi con furigana
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あくのはなたば
悪の花束
久生 十蘭
Leggi 悪の花束 (あくのはなたば) di 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 23.888 caratteri · 48 schermate
ところでベラールは、最盛時のナポレオンといった、堂々たる偉丈夫で、態度も如才なく、慇懃で、音楽も文学もよくわかる。言うまでもないことだが、夫人のジャンヌと非常に親しくなった。バルトウ氏は、細君に愛されない亭主の常で、二人が特別な関係にはまりこんでいるかのように邪推し、時々、荒々しい焼餅沙汰に及ぶというわけである。
半年ほど前に、えらい騒ぎがあった。ジャンヌとベラールが、二人で森へ行くのを見たものがあるといって、帰るなり、夫人を糺明しだした。その頃、フォンテーヌの森にメェゾン・ド・ランデ・ヴゥ「(お待合)」といって、鍵のかかる特別室のある小さな料亭が出来、仲々繁昌していた。実際、そんなことがあったかどうか知らないが、夫人は、
「そんなに疑うなら、その家へ行きましょう。給仕が証明してくれるでしょうから」
というようなことで、軽くはぐらかしてしまった。
バルトウ氏はそれではおさまらず、ベラールを電話で呼びつけて、口汚く面罵した揚句、腕力にまかせて家から掴みだした。そういった活劇があった。以上が小間使のルイーズの話である。
その後、三人の関係はどうなったかというと、それほどの騒ぎもいつの間にか落着き、バルトウ氏が失踪するすこし以前まで、何事もなくつづいていた。