Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

ja-reading.com

Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.

あくまのもんしょう

悪魔の紋章

江戸川 乱歩

Leggi 悪魔の紋章 (あくまのもんしょう) di 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 151.280 caratteri · 301 schermate

Aozora Bunko

だが、恐らくは今の間に逃げ失せてしまったのであろう。そこには一むらの南天が黒く押黙っているばかりで、人らしい物の影はなかった。

しかし、人の姿は見えなかったけれど、それよりももっと妙なものが、忽ち川手氏の注意を惹いた。というのは、その廊下の斜向うに、鈎の手になった建物の大きな白壁が、夜目にも薄白く、目を圧するように浮上っているのだが、その白壁の表面にボーッと白く燐のような光がさしていたのである。

オヤ、何だろう。ギョッとして、よく見直すと、壁を塗り直した痕ではない。たしかに何かの光である。直径二間にもあまる巨大な円を描いて、その部分だけが映画のように浮き上っている。

だが、怪異はそれだけではなかった。じっと見ていると、その丸い光のなかに、何かしら、無数の蛇でも這っているような、妙な黒い模様が、朦朧と見えて来るのだ。何百何千とも知れぬ蛇だ。イヤ、蛇ではない。何だか、えたいの知れぬ模様だ。どこかで見たような模様だぞ。どこで見たのかしら……。あまりに大きすぎてよく分からぬが…………

川手氏はその巨大な模様めいたものを見つめているうちに、心臓の鼓動がピッタリと止まってしまうほどの、はげしい驚きにうたれた。