Classici giapponesi con furigana
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かなしめるこころ
悲しめる心
宮本 百合子
Leggi 悲しめる心 (かなしめるこころ) di 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 16.423 caratteri · 33 schermate
涙をこぼしてはならないと自らいましめる様な言葉が胸に浮んで地の中にめり込みそうな気持になりながら一滴の涙さえ頬には流さなかった。
祭官の祭詞を読む間も御玉串を供える時にも喪主になった私はいろいろの事を誰よりも一番先にした。恥かしい気もうじうじする気も私の心の隅にはちょんびりも生れて来なかった。
御供をし又それを静かに引いて柩は再び皆の手に抱かれて馬車にのせられ淋しい砂利路を妹の弟と身内の誰彼の眠って居る家の墓地につれられた。
赤子のままでこの世を去った弟と頭を合わせて妹の安まるべき塚穴は掘ってあった。
私はその塚穴の前に立った。
柩の両端に太い麻繩は結いつけられて二人の屈強な男の手によって、頭より先に静かに――静かに下って行く。
降りそそぐ小雨の銀の雨足は白木の柩の肌に消えて行く。
スルスル……、スルスル、麻繩は男の手をすべる。
トトト……、トトトト、土の小さなかたまりはころげ落ちる。悲しみの静寂の裡に思い深く二つの音は響く、繰り下げるだけ男は繩を持つ指をゆるめて柩は深い土の底に横わった。
私は土を握って柩の上に入れた。
コトン、ただ一度のその音は私の心をあらいざらいおびやかして行って仕舞った。