Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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せきべつ

惜別

太宰 治

Leggi 惜別 (せきべつ) di Dazai Osamu (太宰 治) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 91.984 caratteri · 178 schermate

Aozora Bunko

私は赤面した。津田氏よりも私のほうが、もっとやきもちやきなのかも知れないと思ったからである。

「寒くありませんか?」と私は、話頭を転じた。「お蕎麦でも、たべましょうか。」

いつのまにか、東京庵の前まで来ていた。

「宮城野のほうがいいかしら。津田さんの説に拠ると、この東京庵の天ぷら蕎麦は、油くさくて食えないそうです。」

「いや、宮城野の天ぷらだって油くさいでしょう。油くさくない天ぷらは、にせものです。」周さんも僕と同様、あまり食通ではないようであった。

私たちは東京庵にはいった。

「その油くさい天ぷら蕎麦をたべてみましょう。」と周さんは、少からずその油くさい天ぷらに興味を感じている様子であった。

「ええ、そうしましょう。案外、おいしいような予感がしますね。」

天ぷら蕎麦とお酒を注文した。

「お国は、料理の国だそうですから、日本へ来ても、たべものがお粗末で困るでしょうね。」

「そんな事はありません。」と周さんは、まじめな顔をして首を振った。「料理の国だなんて、それは支那へ遊びに来る金持の外国人の言いはじめた事です。あの人たちは、支那を享楽しに来るのです。そうして自分の国へ帰れば、支那通というものになる。