Classici giapponesi con furigana
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あいのごとく
愛のごとく
山川 方夫
Leggi 愛のごとく (あいのごとく) di 山川 方夫 (やまかわまさお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 103.908 caratteri · 210 schermate
一列につめて四五人しか坐れない狭い飲み屋だった。鍵の手になったくらい隅で、二人づれの男が私をながめていた。
「なんだ、君たちもきていたのか」
男は平山と佐伯で、さっきまで保井の家で受付けを手つだっていた仲間だった。「君たちがここを知っているとは、しらなかった」と私はいった。そこはちがう劇団のたまりで、真理子とも居合わせたことはなかった。私はむしろ真理子と縁のない人びとのなかに混りこみたかった。
「平山につれてこられたんですよ」と佐伯は人なつっこく答えた。
「なに考えてたんです?」と平山がいった。
「さて、思い出せない」
私はそう答えてわらった。だが、私は佐藤の言葉を考えていたのだった。私は保井の家を夕食をすませて出て、まっすぐこの新宿の飲み屋にきた。やっと一人になれ、貝殻の中にかくれこむ貝のように、私はようやく自分の殻の触感を落着いてたしかめなおす時を得ていたのだ。佐藤の言葉は矢のように私を射て、肉が爆ぜたようにそれが抜けなかった。一人になるとともに、痛みはあたらしく、なまなましくよみがえった。私はどうにかせねばならなかった。さもなければ私の心の安定は回復できないのだ。