Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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あいのごとく

愛のごとく

山川 方夫

Leggi 愛のごとく (あいのごとく) di 山川 方夫 (やまかわまさお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 103.908 caratteri · 210 schermate

Aozora Bunko

うながすようにそっと伍長に肩でふれた。伍長も手をたたきはじめた。人気のないホールのなかに、まばらな二人の拍手だけがひびいていた。幕が下りはじめた。バンドの人びとはいっせいに深く首を下げた。

「寒いな、まったく」帰途のトラックの中で、荻村の声が吹きとばされ闇に消えていった。風は冷たく、はげしかった。風をさけるためには低くなっていなければならない。信二はスティックを入れた旧日本軍の銃弾入れの箱に腰を下ろし、行き場所のない両手を肩に組んで首をちぢめていた。

「もうすぐ冬だぞ、ダーチー、腕をふるってこんどからはバスでもオーダーしてくんなきゃ、たまんねえや」小林がいった。安達は眠っている様子だった。

突然、背後にけたたましい音がひびいて、道路になにかが顛落した。トラックは急ブレーキをかけて停り、人びとは突きとばされたように床にのめり落ちた。「……やあ、うしろの板が外れやがったんだな」と安達はいい、闇の中でもぞもぞと床を這った。

降りてきた兵士は板をとりつけると、「ハハン、遅すぎたと思うかね、お前ら」といった。日本人たちは無気力に笑った。

「人間をほうり出さないように頼むよ」