Classici giapponesi con furigana
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あいのごとく
愛のごとく
山川 方夫
Leggi 愛のごとく (あいのごとく) di 山川 方夫 (やまかわまさお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 103.908 caratteri · 210 schermate
「ひでえ声だ。ありゃ、猿の声だな」手すりにもたれたまま、兄は顔をしかめた。「気が狂いそうだよ」答えながら信二は、兄が自分になにをいいたいのかが知りたかった。
兄は、語調を明るくした。「学生バンドも、もう流行おくれの商売だよ。でもおれはな、ペットを吹いてりゃあいい気分だ、世界の、どんな時代のどんな国の楽譜にも書かれたことのない高い音。な?」
「またアームストロングか」彼は※った。兄はときどきひどく酔ってその言葉をどなった。
「お前のドラムは、どうだい?」わざとらしい同じ明るさで兄はきいた。「毎週、習っているんだろう?」
「あんなの」と彼はいった。「ひとつも本気じゃない、ダーチーの御機嫌とりさ。いまやつにそっぽを向かれると困るからね」
兄の心配はこのことなのだなと彼は思った。案のじょう、兄は安心したように口笛を吹いて階下へ降りて行った。教科書をとろうとして、気づいて信二はボストン・バッグの口をあけた。ペルメルが二カートンよけいに入っていた。
「……ちきしょう」と彼はいった。そんな親切をしたのにちがいない兄への、奇妙な怒りが彼をおそっていた。「よし、これだけの金は返してやる」