Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

ja-reading.com

Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.

あいのごとく

愛のごとく

山川 方夫

Leggi 愛のごとく (あいのごとく) di 山川 方夫 (やまかわまさお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 103.908 caratteri · 210 schermate

Aozora Bunko

そう思いこもうとしていた。

女は、しかしそのステージのあいだに姿を見せなかった。帰ってくるのか、もう今夜はあらわれないのか。信二はそればかりを思った。今日、あの女は長く髪を垂らしていた。真珠の首飾りをしていなかった。

フロアを少尉に引っぱられて彼の前に近づいてきたとき、彼は女の顔をしげしげとながめることができた。女の眼にはかすかな隈があって、瞳を動かすと瞼はこまかな皺をうかべているようにおもえた。陶器のような、すべすべした白くながい喉があった。……控え室で、信二はじっとうつむいて坐っていることが苦痛だった。ステージに上り、彼はそっと厚い幕のかげからホールをのぞいてみた。兵士たちは減りはじめて、いくつかの空いたテーブルをボーイが拭っていた。ハンカチはまださっきのテーブルの上にあった。控え室の角をまがり、彼は裏口から表に出た。夜は氷をあてられたように冷たかった。思い直して信二は控え室に外套をとりに入った。便所に行くのだといえばいいのだ。安達が声をかけた。「おい、もう十分くらいしかないぞ、休みは」信二は予定どおり答えた。

キッチンの前をすぎるとき、その網戸の裏口がひらいた。