Classici giapponesi con furigana
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あいのごとく
愛のごとく
山川 方夫
Leggi 愛のごとく (あいのごとく) di 山川 方夫 (やまかわまさお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 103.908 caratteri · 210 schermate
私には私の発言は、すべて「掛声」と同じだった。もちろん、私自身にたいしての。――そのやりとりが、他愛のない言葉の、贋のキャッチ・ボールみたいな遊びにすぎぬのはわかっていた。私は私の球を投げ、女は女の球を投げる。それぞれ、かえってくるのは別の球で、私たちはいつもきまって自分の球だけをほうり、相手の球は皮膚をすべってゆき、そのくせ一つの球を投げあうキャッチ・ボールをたのしんでいるふりをしていたのだ。……おそらく、彼女のほうでもそれは承知だったと思う。
私は、十代の半ばから亡父の代理として、家族や親戚の相談ごとにはかならず首を突っこまされていたおかげか、神妙な顔、誠実な、熱心そうな顔をつくるのが上手だったが、じつはそれはもっともムキになっていないときの表情にすぎないのだ。言葉は信じていなかったから、どんな言葉でも使えた。彼女たち血の繋りのない相手には、逃げ方だって心得ていると確信してもいたし、だから私は彼女の前ではひどく自由だった。……そして、女は私のそのインチキさが好きだったらしい。「はじめて逢ったとき、あなたはまだ大学の四年だったでしょう? あれから、ちょうど十年ね。