Classici giapponesi con furigana
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ばしゃ
愛の挨拶・馬車・純粋小説論
横光 利一
Leggi 愛の挨拶・馬車・純粋小説論 (ばしゃ) di 横光 利一 (よこみつりいち) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 40.699 caratteri · 78 schermate
と息を殺して見ているといつまでたっても信者の姿は見えないので、また由良は来た道を引き返して信者の方へ降りていった。しかし、信者の姿はもうどこにも見えない。いま倒れたばかりだからそのあたりにいない筈がないのだのに、それに見えないのだから、「鳥羽君、鳥羽君」と由良は呼びながらあたりを廻ってみたが、いつまでたっても何の返事もなかった。それで由良はまた温泉へ戻ると直ぐ湯につかって学者の脊中を流してやりながら、先生は鳥羽君にも筮法を教えられたそうですが、鳥羽君の占筮はよく当りましたかと訊くと、あれは駄目だ、ああいう易は当るも八卦当らぬも八卦といって迷信だと、ひどく簡単にきめつけた。それでは信者と学者との感情のくい違いも、思いの他に大きかったのであろうと由良は想像しながら、第二の弟子がこんなにして先生の肩を流しているのを見たら、定めし信者も怒ることであろうと思って流しをやめて、いつものように仰向きになって、なるだけ首を湯に浸すようにと空を見上げたり、急に枯葉の多くなった山面の明るさに見惚れたりしていると、ふと、歯朶の中から湯の方へ突出している岩影からじっと身をひそめたままこちらを見詰めている信者の頭に気がついた。