Classici giapponesi con furigana
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ばしゃ
愛の挨拶・馬車・純粋小説論
横光 利一
Leggi 愛の挨拶・馬車・純粋小説論 (ばしゃ) di 横光 利一 (よこみつりいち) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 40.699 caratteri · 78 schermate
ふわふわした人間など、生きているものとは思えなく、亡者に見えるのも道理であると由良も思った。しかし、そんなに自分の手で現した卦を重大に考えるのも、人の運命を判断する場合だけであって、学者と由良とが二人でいるときには、練習のために新聞面に現れた小さな事件や、誰にも当りさわりのない村の出来ごとや、自分達二人のその日その日の運命などを判断し合って、どちらが正しく適中するかを競争したりしながら戯れるのを常とした。
しかし、そんな風に楽しげに由良が学者のところへ出入しているのも、学者を由良が尊敬し敬愛しているからこそではあるが、もう一重底を割ってみれば、実は絶えず学者の不幸な娘のことが気にかかってならなかったからであった。娘の花江は父のところへはときどき夢殿村から来ているのは来ているのであろうが、由良の出かけていく時刻がいつも午後のためか、彼はまだ初めて紹介されてからは一度も花江とは逢わなかった。ところが或る日、夕方になって、由良がもう学者のところから帰って湯へいこうとすると、花江が父のところへやって来た。由良は花江を見ると、どうしたものかまた前のときのようにその場をはずさねば気の毒な気になって、学者にいつものように帰る挨拶をすると、学者は急にまアまアといってひきとめた。