Classici giapponesi con furigana
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あいけいでん
愛卿伝
田中 貢太郎
Leggi 愛卿伝 (あいけいでん) di 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 6745 caratteri · 14 schermate
老人の眼に涙が湧いて見えた。
「どうした、早く言ってくれ」
「旦那様、びっくりなされちゃいけません、大奥様は御病気でお亡くなりになりますし、若奥様は苗軍の盗人のために、迫られて亡くなられました、なんとも申しあげようがございません」
趙は青い顔をして立ったままで何も言えなかった。
「旦那様、しっかりなすってくださいませ、大奥様が御病気になりますと、若奥様が夜も睡らないで御介抱なさいました、お亡くなりになってからも、若奥様がほとんどお一人で、お墓までおこしらえになりましたが、苗軍がやってきて、劉万戸という盗人が、若奥様を見染めて、迫りましたので、若奥様は閤へ入ってお亡くなりなさいました」
「そうか、俺が旅に出たばかりに、こんなことになった、俺が悪い、爺や俺は馬鹿者だ」
趙は老人を連れてその足で白苧村にある母親の墓へ往った。墓場には愛卿の手で植えた小松が美くしい緑葉を見せていた。
「これは若奥様のお植えになったものでございます」
老人はまた墓の盛り土へ指をさした。
「これも若奥様が御自身でお造りになりました」
趙は老人と家へ帰って、家の背後の圃中に立った銀杏の下へ往った。