Classici giapponesi con furigana
ja-reading.com
Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.
じひ
慈悲
岡本 かの子
Leggi 慈悲 (じひ) di 岡本 かの子 (おかもとかのこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 2125 caratteri · 5 schermate
おだてに乗った、うかつものの愚な所行です。そんな時、ものを遣る代りに、そのなまけ者のお上手者の頬に平手の一つも見舞ってやる。誡めになり発憤剤になるかもしれません。その方が本当の慈悲です。
人の云うことを聞けば宜いと云って人を甘やかすばかりが慈悲ではありません。お砂糖ばかりで煮たお料理は却ってまずい。ひとつまみの塩を入れてたちまち味の調和がとれるではありませんか。時には、いつくしみのなかに味ひとつまみの小言もいれなくては完全な慈悲とはならないでしょう。
愛情ばかりで智慧の判断の伴わない慈悲は往々にしてまた利己主義の慈悲になります。折角、自分は善良な慈悲心でして居るつもりのことが、利己主義の慈悲心になっては残念です。
トルストイの作品のうちにあった例だと思います。何の職業をして居る人だったか忘れましたが、とにかく慈悲を心がけて暮らして居る或る男がありました。或る冬の夜、非常に天候が荒れ(或いは雪の夜だったかもしれません)ました。慈悲深い男は、家外の寒さを思い遣り乍ら室内のストーヴの火に暖を採り、椅子にふかふかと身を埋めて静に読書して居りました。と、家外の吹雪の中に一人のヴァイオリン弾きの老爺の乞食が立ち、やがてそれは寒さのために縮んで主人の室の硝子扉に貼りつくように体を寄せました。