Classici giapponesi con furigana
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わがやのらくえん
我が家の楽園
久生 十蘭
Leggi 我が家の楽園 (わがやのらくえん) di 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 90.195 caratteri · 175 schermate
長男の五十雄君は、帰るには帰ってきたが、プロペラにひっかけられた背中の戦傷がカリエスになり、じぶんのやつのほかに、ジュラルミン製の背骨をもう一本背負い、鯨骨入りのコルセットのなかで見るもあわれに萎びながら、この七年、ベッドに縛りつけられ、天井をながめて暮らしている。
賢夫人のほうは、むやみにむくむく肥りだし、むかしのような、あざやかな頭の冴えを見せなくなった。長女さまは、取換えのきかない、大切な許婚者が、ひょんな死にかたをしたので、その愁いが頭にきたのか、玄関脇の薄暗い三畳にひきこもり、回顧的な湿っぽい顔をして、いつ終るともない長い胴着を、毎日、根気よく編みかえしている。
石田夫妻は、石田氏がまだ農林省の下級技官だった時代に、先代に見こまれて夫婦養子の縁組みをしたが、見かけだけは、胆をつぶすような宏荘な邸に住んでいたため、わずかばかりの俸給で身分不相応な体裁を張るのに、何年となく、血のにじむようなやりくりをしてきたものだった。
遺言書は早くからできていたが、唯一の遺産たる土地と家屋は、抜け目なく遺留分になっていて、父から後継につたえるほか、譲るも売るもならないように、しっかりと遺産法で縛られている。