Classici giapponesi con furigana
ja-reading.com
Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.
わがあいするしじんのでんき
我が愛する詩人の伝記
室生 犀星
Leggi 我が愛する詩人の伝記 (わがあいするしじんのでんき) di 室生 犀星 (むろうさいせい) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 116.728 caratteri · 231 schermate
兵営に向って歩いていた。迢空は入隊前からもそうだが、今もこの藤井がそばにいなくなるということが、自分にどういう空っぽな日々をおくらせるかということを、周囲の群衆がざわめく程、痛切に感じた。藤井はむしろぽかんとした睡眠不足の眼を、何処に何を見ているかも自分で判っていない風で、やはりじりじりと人に押されて歩いていた。この年の遅い雪が兵営の屋根の上にちらつき出している……。
正午近く藤井は兵隊服を窮屈に裸になって着替え、迢空は襟元を引いてやり、そしてズボンをすぐはけるようにひろげて差し出すと、不機嫌になっている藤井は邪険にそれを引きたくり、僕は一人で着ますよ、打棄って置いてと変った声音で叱った。それは度たび叱ることがあるので、迢空はすぐ着なれてしまうよとばつを合せていってみたが、藤井は塩からい眼に悲しそうな容子を見せまいとして、兵隊服なんかに着なれてたまるもんですかと言い放った。しかし陸軍少尉の制服ははじめて迢空の眼に、映画に見る好ましい外人部隊のある一士官の恰好を捉えることができた。肩章にある二つの金色の星は、いつも著書の背中に金文字を愛するかれに、好感と、りりしさを与えてくれた。