Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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あるおんな

或る女

有島 武郎

Leggi 或る女 (あるおんな) di 有島 武郎 (ありしまたけお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 205.655 caratteri · 406 schermate

Aozora Bunko

ちょうどそこにかなり酔ったらしい様子で、倉地が女将の案内も待たずにずしんずしんという足どりではいって来た。葉子と顔を見合わした瞬間には部屋を間違えたと思ったらしく、少しあわてて身を引こうとしたが、すぐ櫛巻きにして黒襟をかけたその女が葉子だったのに気が付くと、いつもの渋いように顔をくずして笑いながら、

「なんだばかをしくさって」

とほざくようにいって、長火鉢の向かい座にどっかとあぐらをかいた。ついて来た女将は立ったまましばらく二人を見くらべていたが、

「ようよう……変てこなお内裏雛様」

と陽気にかけ声をして笑いこけるようにぺちゃんとそこにすわり込んだ。三人は声を立てて笑った。

と、女将は急にまじめに返って倉地に向かい、

「こちらはきょうの報正新報を……」

といいかけるのを、葉子はすばやく目でさえぎった。女将はあぶない土端場で踏みとどまった。倉地は酔眼を女将に向けながら、

「何」

と尻上がりに問い返した。

「そう早耳を走らすとつんぼと間違えられますとさ」

と女将は事もなげに受け流した。三人はまた声を立てて笑った。

倉地と女将との間に一別以来のうわさ話がしばらくの間取りかわされてから、今度は倉地がまじめになった。