Classici giapponesi con furigana
ja-reading.com
Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.
あるおんな
或る女
有島 武郎
Leggi 或る女 (あるおんな) di 有島 武郎 (ありしまたけお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 205.655 caratteri · 406 schermate
どうかすると思いもかけない時に明白な皮肉が矢のように葉子の口びるから岡に向かって飛ばされた。岡は自分が恥じるように顔を紅らめながらも、上品な態度でそれをこらえた。それがまたなおさら葉子をいらつかす種になった。
もう来られそうもないといいながら倉地も三日に一度ぐらいは病院を見舞うようになった。葉子はそれをも愛子ゆえと考えずにはいられなかった。そう激しい妄想に駆り立てられて来ると、どういう関係で倉地と自分とをつないでおけばいいのか、どうした態度で倉地をもちあつかえばいいのか、葉子にはほとほと見当がつかなくなってしまった。親身に持ちかけてみたり、よそよそしく取りなしてみたり、その時の気分気分で勝手な無技巧な事をしていながらも、どうしてものがれ出る事のできないのは倉地に対するこちんと固まった深い執着だった。それは情けなくも激しく強くなり増さるばかりだった。もう自分で自分の心根を憫然に思ってそぞろに涙を流して、自らを慰めるという余裕すらなくなってしまった。かわききった火のようなものが息気苦しいまでに胸の中にぎっしりつまっているだけだった。
ただ一人貞世だけは……死ぬか生きるかわからない貞世だけは、この姉を信じきってくれている……そう思うと葉子は前にも増した愛着をこの病児にだけは感じないでいられなかった。