Classici giapponesi con furigana
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あるおんな
或る女
有島 武郎
Leggi 或る女 (あるおんな) di 有島 武郎 (ありしまたけお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 205.655 caratteri · 406 schermate
「まずい」
貞世はちらっと姉をにらむように盗み見て、口にあるだけのソップをしいて飲みこんだ。
「おやどうして」
「甘ったらしくって」
「そんなはずはないがねえ。どれそれじゃも少し塩を入れてあげますわ」
葉子は塩をたしてみた。けれども貞世はうまいとはいわなかった。また一口飲み込むともういやだといった。
「そういわずとも少し召し上がれ、ね、せっかくねえさんが加減したんだから。第一食べないでいては弱ってしまいますよ」
そう促してみても貞世は金輪際あとを食べようとはしなかった。
突然自分でも思いもよらない憤怒が葉子に襲いかかった。自分がこれほど骨を折ってしてやったのに、義理にももう少しは食べてよさそうなものだ。なんというわがままな子だろう(葉子は貞世が味覚を回復していて、流動食では満足しなくなったのを少しも考えに入れなかった)。
そうなるともう葉子は自分を統御する力を失ってしまっていた。血管の中の血が一時にかっと燃え立って、それが心臓に、そして心臓から頭に衝き進んで、頭蓋骨はばりばりと音を立てて破れそうだった。日ごろあれほどかわいがってやっているのに、……憎さは一倍だった。