Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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あるおんな

或る女

有島 武郎

Leggi 或る女 (あるおんな) di 有島 武郎 (ありしまたけお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 205.655 caratteri · 406 schermate

Aozora Bunko

木村は思えば思うほど涙ぐましい不幸な男だった。その思い入った心持ちは何事もわだかまりのなくなった葉子の胸の中を清水のように流れて通った。多年の迫害に復讐する時機が来たというように、岡までをそそのかして、葉子を見捨ててしまったと思われる愛子の心持ちにも葉子は同情ができた。愛子の情けに引かされて葉子を裏切った岡の気持ちはなおさらよくわかった。泣いても泣いても泣き足りないようにかわいそうなのは貞世だった。愛子はいまにきっと自分以上に恐ろしい道に踏み迷う女だと葉子は思った。その愛子のただ一人の妹として……もしも自分の命がなくなってしまった後は……そう思うにつけて葉子は内田を考えた。すべての人は何かの力で流れて行くべき先に流れて行くだろう。そしてしまいにはだれでも自分と同様に一人ぼっちになってしまうんだ。……どの人を見てもあわれまれる……葉子はそう思いふけりながら静かに静かに西に回って行く月を見入っていた。その月の輪郭がだんだんぼやけて来て、空の中に浮き漂うようになると、葉子のまつ毛の一つ一つにも月の光が宿った。涙が目じりからあふれて両方のこめかみの所をくすぐるようにするすると流れ下った。