Classici giapponesi con furigana
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あるしょうじょのしまで
或る少女の死まで 他二篇
室生 犀星
Leggi 或る少女の死まで 他二篇 (あるしょうじょのしまで) di 室生 犀星 (むろうさいせい) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 113.554 caratteri · 228 schermate
表の眼だけを見ていると、そのいつも近眼鏡の下に温和しく瞬いていて子供のように円円してそこに狡猾さも毒毒しさもなかった。わけて縁日や劇場でああまで大胆に女に接近するさまは、不審すぎるほど不審で、いつも一歩も仮借しなかった。
あるとき、劇場などで、わざわざ娘らしい女の坐った足に躓いて見せて、
「どうも失礼しました。」と、白白しく、しかも丁寧に詫びると、かえって対手が赤くなって、
「いいえ。」と、はにかむと、彼はいつもその隣席へ割り込むのであった。
幾時間も一しょに坐っているうちに、彼は実にたくみに話しかけては対手の心をだんだんに柔らげると、いつの間にか手を握るところまで、図図しく衝き込んでゆくのが癖であった。傍によその人が注視していても、それにはまるで気に懸けないで、殆んど無智なほど大胆で巧妙であった。
彼は、いつも眼鏡のそとから、じろりと秋波めいたものを送るとき(彼は私と対談しているときも厭な横目をした。)何かしら厭らしい淫猥な、陰険な気持を含んでいた。しかも彼が私と同じい年頃であるに拘わらず、その長い髪を真中から分けているところや、気のきいた帽子をかむっていた点は、私の学生じみた恰好よりも、ずっとませ込んでいた。