Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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あるひのたいわ

或る日の対話

豊島 与志雄

Leggi 或る日の対話 (あるひのたいわ) di 豊島 与志雄 (とよしまよしお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 5277 caratteri · 11 schermate

Aozora Bunko

それについて、俺の意見はあとで言おう。実は、俺の方でも、お前に話したいことがあるんだよ。」

話したいことがあるなどとは、彼としては実に珍らしい。私は彼の顔を見守った。彼は暫し、話の糸口を探すらしく何か考えていたが、やがて話しだした。

「お前が知ってる通り、この頃、俺の家には大勢の者がいる。それで、食糧難がますますひどくなってきたんだ。」

つまらないことを言いだしたものだと私は思って、ただ耳だけかしながら、煙草をふかして外を眺めた。彼は構わず話し続けた。

「叔父夫婦や従妹夫婦やその子供たちや、女中まで加えて、十人になるものだから、配給の食糧だけでは、まあ五人分しかないし、五人分はいつも補給しなければならない。この五人分というのが、副食物の分量を計算してのことだから、面倒なこと限りがない。経済的にもそろそろ破綻しそうだが、それよりも手数がたいへんだ。家に坐ってては、それだけの分量、なかなかはいらないので、従妹の夫は殆んど買い出しにかかりきりという有様さ。而も、そんなにしても手にはいるものといっては、肥料の足りない痩せた菜っ葉だとか、腐りかけた鰯の干物だとか、冷凍の鯨だとか、まるで話にならん。