Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

ja-reading.com

Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.

あるおとこのしゅき

或る男の手記

豊島 与志雄

Leggi 或る男の手記 (あるおとこのしゅき) di 豊島 与志雄 (とよしまよしお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 43.279 caratteri · 86 schermate

Aozora Bunko

私達は東京駅へ折れ込んで、それから電車に乗った。初め私はただ漠然と郊外でも歩くつもりで、中野までの切符を買ったが、乗り込んだ電車が吉祥寺まで行くものだったから、一層のこと井ノ頭へ行ってみようと思った。

「東京にも、北海道ほどじゃないが、静かな落着いた公園があるから、案内してあげましょうか。」と私は小声で云った。

「ええ。」と彼女はまたどうでも構わないという調子で答えた。

電車の中に彼女と並んで腰掛けて、ステッキの頭に両手をのせ、ぼんやり車外の景色に眼をやってるうちに、私は一寸そうした自分の姿に苦笑したが、別に他意あって光子を連れ出すわけではなく、心さえしっかりしていて過を犯さなければ、彼女と半日の秋の光を浴びるくらい何でもないことだと、至極呑気な気持に落着いていった。たとい友人に出逢って何とか揶揄されても、私は顔に一筋の赤味も浮べないで、反対に相手を揶揄することが出来たかも知れない。後で妻とひどく喧嘩をして、私は北海道の時から光子と関係がついてるのに、それをのめのめと家に引張り込み、光子が河野さんの家に行ってからも、時々媾曳してたに違いないと、とんでもない邪推を受けた時、私は落着いて次のように云ったのである。