Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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あるひのおおいしくらのすけ

或日の大石内蔵助

芥川 竜之介

Leggi 或日の大石内蔵助 (あるひのおおいしくらのすけ) di Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 8830 caratteri · 18 schermate

Aozora Bunko

その火気を感じると、内蔵助の心には、安らかな満足の情が、今更のようにあふれて来た。丁度、去年の極月十五日に、亡君の讐を復して、泉岳寺へ引上げた時、彼自ら「あらたのし思いははるる身はすつる、うきよの月にかかる雲なし」と詠じた、その時の満足が帰って来たのである。

赤穂の城を退去して以来、二年に近い月日を、如何に彼は焦慮と画策との中に、費した事であろう。動もすればはやり勝ちな、一党の客気を控制して、徐に機の熟するのを待っただけでも、並大抵な骨折りではない。しかも讐家の放った細作は、絶えず彼の身辺を窺っている。彼は放埓を装って、これらの細作の眼を欺くと共に、併せてまた、その放埓に欺かれた同志の疑惑をも解かなければならなかった。山科や円山の謀議の昔を思い返せば、当時の苦衷が再び心の中によみ返って来る。――しかし、もうすべては行く処へ行きついた。

もし、まだ片のつかないものがあるとすれば、それは一党四十七人に対する、公儀の御沙汰だけである。が、その御沙汰があるのも、いずれ遠い事ではないのに違いない。そうだ。すべては行く処へ行きついた。それも単に、復讐の挙が成就したと云うばかりではない。