Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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あるひのおおいしくらのすけ

或日の大石内蔵助

芥川 竜之介

Leggi 或日の大石内蔵助 (あるひのおおいしくらのすけ) di Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 8830 caratteri · 18 schermate

Aozora Bunko

ただその中で聊か滑稽の観があったのは、読みかけた太平記を前に置いて、眼鏡をかけたまま、居眠りをしていた堀部弥兵衛が、眼をさますが早いか、慌ててその眼鏡をはずして、丁寧に頭を下げた容子である。これにはさすがな間喜兵衛も、よくよく可笑しかったものと見えて、傍の衝立の方を向きながら、苦しそうな顔をして笑をこらえていた。

「伝右衛門殿も老人はお嫌いだと見えて、とかくこちらへはお出になりませんな。」

内蔵助は、いつに似合わない、滑な調子で、こう云った。幾分か乱されはしたものの、まだ彼の胸底には、さっきの満足の情が、暖く流れていたからであろう。

「いや、そう云う訳ではございませんが、何かとあちらの方々に引とめられて、ついそのまま、話しこんでしまうのでございます。」

「今も承れば、大分面白い話が出たようでございますな。」

忠左衛門も、傍から口を挟んだ。

「面白い話――と申しますと……」

「江戸中で仇討の真似事が流行ると云う、あの話でございます。」

藤左衛門は、こう云って、伝右衛門と内蔵助とを、にこにこしながら、等分に見比べた。

「はあ、いや、あの話でございますか。人情と云うものは、実に妙なものでございます。