Classici giapponesi con furigana
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げさくざんまい
戯作三昧
Leggi 戯作三昧 (げさくざんまい) di Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 20.807 caratteri · 42 schermate
いわばこの桶の中の空のように、静かながら慕わしい、安らかな寂滅の意識であった。一切の塵労を脱して、その「死」の中に眠ることが出来たならば――無心の子供のように夢もなく眠ることが出来たならば、どんなに悦ばしいことであろう。自分は生活に疲れているばかりではない。何十年来、絶え間ない創作の苦しみにも、疲れている。……
老人は憮然として、眼をあげた。あたりではやはり賑かな談笑の声につれて、大ぜいの裸の人間が、目まぐるしく湯気の中に動いている。柘榴口の中の歌祭文にも、めりやすやよしこのの声が加わった。ここにはもちろん、今彼の心に影を落した悠久なものの姿は、微塵もない。
「いや、先生、こりゃとんだところでお眼にかかりますな。どうも曲亭先生が朝湯にお出でになろうなんぞとは手前夢にも思いませんでした。」
老人は、突然こう呼びかける声に驚かされた。見ると彼の傍には、血色のいい、中背の細銀杏が、止め桶を前に控えながら、濡れ手拭を肩へかけて、元気よく笑っている。これは風呂から出て、ちょうど上がり湯を使おうとしたところらしい。
「相変らず御機嫌で結構だね。」
馬琴滝沢瑣吉は、微笑しながら、やや皮肉にこう答えた。