Classici giapponesi con furigana
ja-reading.com
Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.
しどうものがたり
指導物語
上田 広
Leggi 指導物語 (しどうものがたり) di 上田 広 (うえだひろし) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 17.687 caratteri · 35 schermate
佐川二等兵はまるで別人の如くに動き出した。石炭を掬いながら、火室扉をあける姿勢も、目的の位置を叫んで投炭する態度も、生きたスコップの操作振りも、私には曾てなかったものとして見ることが出来た。私は急に胸のいっぱいになるものを感じた。ずっと腰をかがめたままでする作業だから顔は見られなかったけれど、一杯々々と重ねられる毎に高まる連呼の声は私の鼓膜をたたき、胸を衝いてくるのである。私は火室の中を見守っていた。小気味よい散乱がつづき、投炭場所の誤りこそ一、二回あったようだが、形成される層は私が見ても私より好い。私は口惜しさより嬉しさが先きに立った。いや嬉しさだけだと云った方がよい。初めてではあるが、それだけに私の喜びは大きかったのだ。私は一瞬もうよい、と云ってやりたくなった。然し私は胸と共に両手でかかえるように持ったストップ・ウォッチに見入りながら、所定量の投炭の終るのを待った。私は彼の両掌を執って、よくこれまで上達してくれた、そう言って感謝するつもりでいたのだが、数百回のスコップの操作に彼が幾らか汗ばんだ顔をあげた時には、私の眼瞼は全く熱いもので満たされていた。