Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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すてご

捨児

芥川 竜之介

Leggi 捨児 (すてご) di Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 4695 caratteri · 10 schermate

Aozora Bunko

「阿母さんは今でも丈夫ですか。」

すると意外な答があった。

「いえ、一昨年歿くなりました。――しかし今御話した女は、私の母じゃなかったのです。」

客は私の驚きを見ると、眼だけにちらりと微笑を浮べた。

「夫が浅草田原町に米屋を出していたと云う事や、横浜へ行って苦労したと云う事は勿論嘘じゃありません。が、捨児をしたと云う事は、嘘だった事が後に知れました。ちょうど母が歿くなる前年、店の商用を抱えた私は、――御承知の通り私の店は綿糸の方をやっていますから、新潟界隈を廻って歩きましたが、その時田原町の母の家の隣に住んでいた袋物屋と、一つ汽車に乗り合せたのです。それが問わず語りに話した所では、母は当時女の子を生んで、その子がまた店をしまう前に、死んでしまったとか云う事でした。それから横浜へ帰って後、早速母に知れないように戸籍謄本をとって見ると、なるほど袋物屋の言葉通り、田原町にいた時に生まれたのは、女の子に違いありません。しかも生後三月目に死んでしまっているのです。母はどう云う量見か、子でもない私を養うために、捨児の嘘をついたのでした。そうしてその後二十年あまりは、ほとんど寝食さえ忘れるくらい、私に尽してくれたのでした。