Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ばんしゅうへいや

播州平野

宮本 百合子

Leggi 播州平野 (ばんしゅうへいや) di 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 106.683 caratteri · 214 schermate

Aozora Bunko

つづいて、土間にあった下駄という下駄がみんな浮き上って流れはじめた。そして、五分経つまいと思う間に土間は脛の高さに水漬りとなった。床へつくまでには、三寸ほどゆとりがあった。

水嵩にばかり気をとられていた四人の女が、ふと気付いたとき、雨音はさっきよりおとなしくなっていた。

ひろ子が楽観したように、

「大体この位ですむんじゃないのかしら」

と云った。

「そうなら大助かりじゃがのう」

それぎり、水は高まって来なかった。シャツ一枚に猿股で沢田の主人が、往来越しにざぶざぶ水をこいで土間に入って来た。

「えらいことになりよりましたのう。早、畳あげてでありましたか。それはよかった。何でも手ごうしに来ますけに、心配はいりませんで」

この人は永年石田の前に住んでいる鍛冶やで、整備兵に行っていた二男も先頃帰って来ているのであった。

「どうでありましょうの、堰は切れよってでありますか」

「――今年はどうですこし様子がちがいよりますのう――じゃまた」

ひろ子たちは、二階へ七輪とやかんと茶碗かごをもって上った。

「さあ、まあ一息せにゃ」

はったい粉をかいた。

「おお、そうじゃ、燈心はどこにあったかいの」