Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ばんしゅうへいや

播州平野

宮本 百合子

Leggi 播州平野 (ばんしゅうへいや) di 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 106.683 caratteri · 214 schermate

Aozora Bunko

夕飯のあと、母はしみじみ述懐した。

「田原の叔父さあも、どんなによろこうでかしれんのに。直次は、兄さんが戻ったらほん大切にして暮さすのに、といつも云うちょった、のう、つや子はん」

「ほん、よう、そう云うとでありましたのう」

「ひろ子はん、あんた、こんど重吉が戻ったら、もうどこにも行かさんことでありますよ」

云いつけるように真心こめて云った。

「ここにおいませ。何年でもここに二人でおいませ。あなたは二階で小説かいて、重吉は市役所へなりつとめりゃ退屈せんわいの。水こそつきよるが、この田舎もようありますよ」

十余年も牢やでがんばった重吉を、今度こそ市役所へつとめさせるという考えは、云い出した母親自身さえ、笑い出すおかしみに溢れていた。そして、情愛にあふれている。

つや子が、こういう笑声の中にも一座し、明日の弁当、途中の用意と、縫子と二人で世話をやいてくれることを、ひろ子はいじらしく思った。力相応の平穏な暮しの中でなら、こわくも、おそろしくもならない若い弱いつや子が、しばしば、体力的にも生活の重荷を感じて、何か近よりにくいひとになる。しかも、それをさけることは出来ない境遇の現実である。