Classici giapponesi con furigana
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はせくらじけん
支倉事件
甲賀 三郎
Leggi 支倉事件 (はせくらじけん) di 甲賀 三郎 (こうがさぶろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 204.697 caratteri · 406 schermate
「恰で私の宅を郵便の中継所のようにしているので、私も少し腹が立ちましたから断ろうかと思っているのですが、何分三週間の謝礼を前に取っているものですから、期限が来るまで鳥渡云い出し悪くかったのです」
「松下と云うのは三十六、七の色の真黒な頑丈な男で、眼が大きくて眉の気味の悪い程濃い、ひどく東北訛のある大きな声を出す男でしょう」
「その通りです」
主人の云う所は嘘とは思えぬ。石子は登りつめた絶頂から九仭の谷へ落されたように情なくなった。
「今手紙は来ていませんか」
「一昨日でしたか、すっかり持って行った所です」
あゝ、又しても僅な違いで出し抜かれて終った。
「実は私はこう云う者です」
石子は名刺を差出しながら、
「松下と云う男は本名を支倉と云って、ある犯罪の嫌疑者なのです。今度もしやって来ましたら引留めて警察へ渡して下さい」
写真館主は名刺を受取って、吃驚したように眼を瞶りながら答えた。
「承知いたしました」
石子刑事は悄然として外へ出た。
度々の事とて見張をして呉れている同僚に合す顔がないのだった。
同僚には手短かに話をして、歯噛みをしながら署へ帰った。
今度こそはと期待していた根岸刑事は石子の話を聞くと落胆して終った。