Classici giapponesi con furigana
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はせくらじけん
支倉事件
甲賀 三郎
Leggi 支倉事件 (はせくらじけん) di 甲賀 三郎 (こうがさぶろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 204.697 caratteri · 406 schermate
「いや」
根岸は凹んだ眼を考え深そうにギロリと光らしながら、
「喚んでも来るかどうか分りませんよ。石子君にでも行って貰うんですなあ」
「行きましょう」
石子が口を出した。
「では石子君は神戸牧師の所へ行って呉れ給え。それから根岸君と渡辺君とは午後僕の調べた後を、もう一度厳重にやって呉れ給え」
「承知しました」
三刑事は頭を下げた。
「どれ昼飯にでもしようか」
大島主任は機嫌よく立上ろうとした。
所へ、あわたゞしく一人の刑事が走って来た。
「主任、支倉がどうしたのか苦悶を始めました。監房をのたうち廻っています」
「えっ」
一同は驚いて顔を見合せたが、主任は口早に石子に向って云った。
「君、あいつの懐中物はすっかり取り上げたんだろうね」
「えゝ」
石子はうなずいた。
「毒薬を持っていたとか云うが――」
「毒薬は無論第一に取上げました」
「では、急病でも起したと見える」
主任は飛んで来た刑事を振り向いて、
「直ぐ医者を呼んで呉れ給え」
「承知しました」
刑事が出て行くと、主任はすっくと立上った。
「おい、見に行こう」
一同がうち連れて独房の前に立つと、薄暗い不潔な箱の中で、支倉が顔蒼ざめて手足をバタバタさせながら呻吟していた。