Classici giapponesi con furigana
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ぶんがくいぜん
文学以前
豊島 与志雄
Leggi 文学以前 (ぶんがくいぜん) di 豊島 与志雄 (とよしまよしお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 19.171 caratteri · 38 schermate
場所は空虚を許容しない。全部崩壊か空虚填充があるのみである。――幻覚を以て譬うれば、長い不在の折など、自分が日常坐り続けた自室の、自分がいないその丁度空しいところに、自分の姿がじっと坐ってはいないであろうか。
C
猫はその習性として、始終自分の身体をなめている。あのざらざらした舌でなめるのだから、ともすると毛が唾液と共に嚥下され、その毛がどうかして胃袋のなかに停滞することがある。すると猫は草の葉の尖いもの、芒や茅などのような葉を、短く噛みきって呑みこみ、それが胃袋を擽る拍子に自然と嘔気を催し、胃袋の毛を吐き出してしまうのである。――毛をなめるのが猫の化粧であるとするならば、その結果の胃袋の毛を吐き出すのに、草の葉を呑みこんで胃袋を擽るというのは、随分ととぼけたやり方である。
以前、埼玉県の或る農家の娘に、訳の分らぬ胃の病気にかかったのがあった。あちこちの医者に診せたが、どうしても明瞭なことが分らない。遂に某外科医が診察を主眼として胃の切開をやったところ、沢山の毛髪が胃袋の底にこんぐらかっていたという。――田舎の娘などはよく、髪の後れ毛をちょっと唇に含む嬌態をなすことがある。