Classici giapponesi con furigana
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ぶんげいのてつがくてききそ
文芸の哲学的基礎
Leggi 文芸の哲学的基礎 (ぶんげいのてつがくてききそ) di Natsume Sōseki (夏目 漱石) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 49.519 caratteri · 98 schermate
しまう。時間がないと不都合だと勘づくと、よろしい、それじゃ時間を製造してやろうと、すぐ時間を製造してしまいます。だからいろいろな抽象や種々な仮定は、みんな背に腹は代えられぬ切なさのあまりから割り出した嘘であります。そうして嘘から出た真実であります。いかにこの嘘が便宜であるかは、何年となく嘘をつき習った、末世澆季の今日では、私もこの嘘を真実と思い、あなた方もこの嘘を真実と思って、誰も怪しむものもなく、疑うものもなく、公々然憚るところなく、仮定を実在と認識して嬉しがっているのでも分ります。貧して鈍すとも、窮すれば濫すとも申して、生活難に追われるとみんなこう堕落して参ります。要するに生活上の利害から割り出した嘘だから、大晦日に女郎のこぼす涙と同じくらいな実は含んでおります。なぜと云って御覧なさい。もし時間があると思わなければ、また時間を計る数と云うものがなければ、土曜に演説を受け合って日曜に来るかも知れない。御互の損になります。空間があると心得なければ、また空間を計る数と云うものがなければ、電車を避ける事もできず、二階から下りる事もできず、交番へ突き当ったり、犬の尾を踏んだり、はなはだ嬉しくない結果になります。