Classici giapponesi con furigana
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しゃこう
斜坑
夢野 久作
Leggi 斜坑 (しゃこう) di 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 19.977 caratteri · 39 schermate
ちょうど福太郎がこの山に来た時分に、下の町の饂飩屋に住み込んだ流れ渡りの白ゆもじで、その丸ボチャの極度に肉感的な身体つきと、持って生れた押しの太さとで、色々な男を手玉に取って来たものであったが、その中でも仕繰夫の指導係をやっているチャンチャンの源次という独身の中年男が、仲間から笑われる位打ち込んで、有らん限り入揚げたのを、お作は絞られるだけ絞り上げた揚句にアッサリと突放して見向きもしなくなった。……というのはこれが縁というものであったろうか、その頃から時々饂飩を喰いに来るだけで、酒なぞ一度も飲んだ事のない福太郎のオズオズした坊ちゃんじみた風付きに、お作の方から人知れず打ち込んでいたものらしい。去年の冬の初めに饂飩屋から暇を取るとそのまま、貯金の通帳と一緒に、福太郎の自炊している小頭用の納屋に転がり込んで、無理からの押掛女房になってしまったのであった。
その時には流石に鈍感な福太郎もすくなからず面喰らわせられた。何もかも心得ているお作の前にかしこまって、赤ん坊のようにオドオドするばかりであったが、それでもどうしていいか解からないまま五日十日と経って行くうちに、福太郎はいつの間にか、お作の白い顔を見に帰るべく仕事の仕上げを急ぐようになっていた。