Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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しゃよう

斜陽

太宰 治

Leggi 斜陽 (しゃよう) di Dazai Osamu (太宰 治) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 89.822 caratteri · 176 schermate

Aozora Bunko

私は足もとが、崩れて行くような思いをした。

「音、とても悪いの? バリバリ聞えてるの?」

心細さに、私はすすり泣きになった。

「右も左も全部だ」

「だって、お母さまは、まだお元気なのよ。ごはんだって、おいしいおいしいとおっしゃって、……」

「仕方がない」

「うそだわ。ね、そんな事ないんでしょう? バタやお卵や、牛乳をたくさん召し上ったら、なおるんでしょう? おからだに抵抗力さえついたら、熱だって下るんでしょう?」

「うん、なんでも、たくさん食べる事だ」

「ね? そうでしょう? トマトも毎日、五つくらいは召し上っているのよ」

「うん、トマトはいい」

「じゃあ、大丈夫ね? なおるわね?」

「しかし、こんどの病気は命取りになるかも知れない。そのつもりでいたほうがいい」

人の力で、どうしても出来ない事が、この世の中にたくさんあるのだという絶望の壁の存在を、生れてはじめて知ったような気がした。

「二年? 三年?」

私は震えながら小声でたずねた。

「わからない。とにかくもう、手のつけようが無い」

そうして、三宅さまは、その日は伊豆の長岡温泉に宿を予約していらっしゃるとかで、看護婦さんと一緒にお帰りになった。