Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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しゃよう

斜陽

太宰 治

Leggi 斜陽 (しゃよう) di Dazai Osamu (太宰 治) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 89.822 caratteri · 176 schermate

Aozora Bunko

私とチエちゃんは長火鉢の傍にならんで坐って、手をあぶっていた。

「お蒲団をおあてなさい。寒くなりましたね。お飲みになりませんか」

おかみさんは、ご自分のお茶のお茶碗にお銚子のお酒をついで、それから別の二つのお茶碗にもお酒を注いだ。

そうして私たち三人は黙って飲んだ。

「みなさん、お強いのね」

とおかみさんは、なぜだか、しんみりした口調で言った。

がらがらと表の戸のあく音が聞えて、

「先生、持ってまいりました」

という若い男の声がして、

「何せ、うちの社長ったら、がっちりしていますからね、二万円と言ってねばったのですが、やっと一万円」

「小切手か?」

と上原さんのしゃがれた声。

「いいえ、現なまですが。すみません」

「まあ、いいや、受取りを書こう」

ギロチン、ギロチン、シュルシュルシュ、の乾杯の歌が、そのあいだも一座に於いて絶える事無くつづいている。

「直さんは?」

と、おかみさんは真面目な顔をしてチエちゃんに尋ねる。私は、どきりとした。

「知らないわ。直さんの番人じゃあるまいし」

と、チエちゃんは、うろたえて、顔を可憐に赤くなさった。

「この頃、何か上原さんと、まずい事でもあったんじゃないの? いつも、必ず、一緒だったのに」