Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

ja-reading.com

Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.

しゃよう

斜陽

太宰 治

Leggi 斜陽 (しゃよう) di Dazai Osamu (太宰 治) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 89.822 caratteri · 176 schermate

Aozora Bunko

陰気くさい、嘆きの溜息が四方の壁から聞えている時、自分たちだけの幸福なんてある筈は無いじゃないか。自分の幸福も光栄も、生きているうちには決して無いとわかった時、ひとは、どんな気持になるものかね。努力。そんなものは、ただ、飢餓の野獣の餌食になるだけだ。みじめな人が多すぎるよ。キザかね」

「いいえ」

「恋だけだね。おめえの手紙のお説のとおりだよ」

「そう」

私のその恋は、消えていた。

夜が明けた。

部屋が薄明るくなって、私は、傍で眠っているそのひとの寝顔をつくづく眺めた。ちかく死ぬひとのような顔をしていた。疲れはてているお顔だった。

犠牲者の顔。貴い犠牲者。

私のひと。私の虹。マイ、チャイルド。にくいひと。ずるいひと。

この世にまたと無いくらいに、とても、とても美しい顔のように思われ、恋があらたによみがえって来たようで胸がときめき、そのひとの髪を撫でながら、私のほうからキスをした。

かなしい、かなしい恋の成就。

上原さんは、眼をつぶりながら私をお抱きになって、

「ひがんでいたのさ。僕は百姓の子だから」

もうこのひとから離れまい。

「私、いま幸福よ。四方の壁から嘆きの声が聞えて来ても、私のいまの幸福感は、飽和点よ。